「アジャイルインセプションデッキ作成ワークショップ」に参加してきた

タイトルの通り。

アジャイルインセプションデッキ作成ワークショップ

アジャイルサムライ−達人開発者への道−」の著者であるJonathan Rasmussonさん(ジョナサン)来日中につき、直々の講義。

アジャイルインセプションデッキとはプロジェクト開始前にステークホルダを含むプロジェクトに関わる人々の間で、ゴールやビジョン、コンセプトなどの認識の共有を図る強力なツールのこと。詳しくは上記のアジャイルサムライに書かれているので、興味ある人は一度読んでみると良いと思う。

アジャイルな開発に関する多くの書籍などはプロジェクト開始後の技術およびプロジェクトマネジメントについてのプラクティスは教えてくれるけれども、いわゆる「プロジェクト憲章」に相当するうまくスタートする方法については教えてくれない。アジャイルなプロジェクトを始めるあたりアジャイルインセプションデッキというツールを使うと、よりうまくプロジェクトを始められるよという感じ。

追記

大事なこと書くの忘れてた。お客さんに「インセプションデッキやります」って言ってはやらないそうです。身構えられるしいいこと無いよって感じで身をすくめてた。「いくつか質問させて下さい」を繰り返して、最終段階でみんなで合意って感じだそうな。これを聞いてインセプションデッキについて結構分かった気がした。

研修を受けて

講義の流れと内容は書籍をなぞってはいたが、実際に活用している当人からの言葉は体験談が含まれている分説得力があった。本で読むと文体が軽いのも相まって結構あっさりしてるんですよ。

講中に「それってそんなにうまく行くんだろうか。うーん?」と違和感の整理をしている間に、頭の回転が速い他の受講者からさくっと飛び出す質問がどれもとてもすばらしく、対する回答もとても勉強になった。たとえば、QCD+スコープの調整のくだりで講義を聞いていると「なんかいつもよりスムーズ過ぎる。なんでや」って思っていたら、鋭い質問が入り、やはり日本と北米では意思決定に違いがあることが著者からも語られるなど、日本における現実とすりあわせってのもいるんやなーと、当たり前と言えば当たり前の認識ができたりして面白かった。
てか、なんか話聞いてると苦労の点は結構日本と変わりない気も。システム開発のよくある苦労を、真面目に合理的に解決しようとしてる人の努力が実りつつあるお国であるだけという印象が無くも無い。そこがでかいんだと言えばそうなんだろうけど。

私の上司が理解ある人で二つ返事で聴講料を出して貰って受けたのだが、いや〜私だけ受けて申し訳ないというくらいよかった。会社でフィードバックしたい。

本を読んで聴講しての通しのアジャイルインセプションデッキの感想

アジャイルだからアジャイルインセプションデッキ手法だとか言う前に、よくよく思い出してみるとその他のプロジェクトマネジメントの体系的な本で読んだり、とあるコンサルティング・ファームから教えて貰ったプロジェクト開始前の整理術で語られていることとよく似ていると思った(いや、QCD+スコープのことを「荒ぶる四天王」なんて訳しているのは流石にアジャイルサムライくらいだけどw)。アジャイルインセプションデッキでは10つの項目(プラクティス)であったが、それぞれ他の手法のプラクティスも大分類して並べると、多くは重なると思う。
いちおう書いておくと、ここで、結局他のと同じ事言ってんじゃんと訳知りな読み方をしたいわけでは無くて。どうしてこれがアジャイルな開発の始まりに良いと著者が考えたか。それぞれのプラクティスには思いがあるはずだし、やはりその通り、講師であり著者であるジョナサンは実際に一つ一つ語って下さり理解が深まった。

過去聞いてきた他の手法と大事な違いはどこにあるのかなーとは考えているけど、多分、始まる前に「皆他の方向を見てない事を確認。これで固定!」とすることを目的とするか「みんな同じ方向向いてるよね。よしじゃ始めるか」という感じを目的とするかに違いがあるのかなと。そこには、アジャイルな開発とウォーターフォールとで前提が違うために、一見手法は似るが、深度や実践内容や細部の目的と思いはやはり違うことになるのだなーと面白かった。似てるが違うというのは危なっかしい。

最後に

くたびれた〜。
災害でざわついた日本ですばらしい講義および企画をしてくださりジョナサンさんと関係者各位ありがとうございました。逐次通訳はホントに助かりました。。。